(090416)






寝そべったからだのとなりで同じようにころんと転がっている、あちこち傷だらけのからだをなだめている。
立てた肘の関節に雲雀の黒い髪があたった。
包帯のしろさが暗い部屋の中でも目にいたい。
チョイスというのはよくないなあとディーノは今しがた終わったひどい戦いのことを考えている。
消耗戦というのは誰も彼もいっさいがっさいみんながきずつく。
(よくねーな)
雲雀はぼんやりけだるげに、指先にまでまとわりつく布っ切れを不満そうにいじっていた。
血が足りていなくて貧血なのだ。
その指のうごきでほどけそうな布を隠すようにうすくやわらかい上掛けを肩まで引き上げてやる。
いまごろ、かわいい弟分やその仲間も夢の中だろう。
せめて夢も見ずに眠れるようにと思った。できるならいい夢を。
毛布が雲雀のほそい肩になじむようになでているとうとうとしだす。
雲雀とも明日お別れだった。
よすぎる夢だ。
いなくなったときのことを考えることができないくらいには。
ディーノにはまだいないことを想像することができない。
二十五の雲雀に会うのはすこしこわい気がした。あまりに違うようにも、すこしも違わず同じようにも思う。どんなふうに雲雀と接していたのかもうわからない。
「……ねえ」
雲雀の声もとけてしまいそうに耳になじんだ。
近すぎて体温もまじりあっていく。からだとからだのすきまを声のふくらみが埋めていっぱいになった。
実際に接触しているのは肩とてのひらだけなのにどこもかしこもふれあっている。
他人とこれ以上そばへ寄ることはできないほど近くにいる気がした。
遠く窓辺でヒバリが鳴いている。
ディーノが開けた匣だ。ちいさい生き物の好きな雲雀のこもりうたくらいになればいい。
もうなにに傷められることもない。両腕の中でなにからも守ってしまいたかった。
ひえた空気からさえ遠ざけたい。あたたかくやわらかいゆりかごみたいに。
「ん?」
「……」
「どーした」
「ひかってる」
「うん?」
「そっち」
「?」
折り曲げていた肘をほどいてベッドの脇を振り返ると雲雀がく、と顎で指し示したあたりに確かにひかるものがある。
「まぶしい」
「ああ……」
音のならないようにしたままの携帯はちらちらと緑色の光を点滅させていた。
雲雀の黒めにそのみどりがうつっている。
それをすいこまれそうにのぞきながら、雲雀がまたたくのを見ていた。ややあってまぶたが落ちてそれから部下の名前がうかぶディスプレイに視線をうつす。